★33話/時は来た!

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 雄の悪い予感が当たったのだ。  くるくると回転しながら高く舞い上がった金色の懐中時計は、ひび割れた箇所から黒い湯気を出し__  ガガンっ!!  ほぼ同じタイミングで銃口を向けたリョーイチとキョウが、そんな懐中時計に銃撃を浴びせた。  一発目は、キョウのライフル射撃が懐中時計の裏蓋に着弾し、反動で懐中時計の蓋が開き。心音の如く時を刻む文字盤が見えたところでリョーイチの弾丸が着弾。偶然のタイミングとは言え、雄が壊しきれなかった金色の懐中時計に止めをさしたのだ。  すると明るくなった道路のアスファルトに、カツンと落ちた懐中時計は__  受け止めた弾丸の重みで転がる事なく、その場で黒く変色して輝きを失った。 (mission complete(ミッション・コンプリート))  ヒビキの変貌が解除されると同時に、半透明の姿を表したシュバルツが言った。  しかし喜びも束の間、暗闇に閉ざされていた周囲の景色が見えてきた事で。シュバルツは険しい表情を浮かべる。 (問題は此れからだな。ヒビキ、悪いが雄にオレの懐中時計を渡して、こう伝えてくれ。〈少し先の未来で待つと〉) 「分かった」  随分一方的な伝言だが、今にも消えそうなシュバルツに小さく返答すると、彼は最後に(頼りにしてるぜ)と返して姿を消した。  どうやら周囲の環境が変わり、シュバルツの魂が見えなくなってしまったようだ。  一方人間のように動かなくなった訳ではないし、化物(ポーン)のような絶命の仕方でもないので。判断に迷ったリョーイチが、険しい表情を誰となく尋ねる。 「やったか?」 「いや、まだだ」  いつの間にか雄の姿は、リョーイチより幼い気に見える十代の容姿へと戻っており。アスファルトに突き刺さっていた愛用の剣を引き抜くと、右手のグローブに付いている朱色の宝玉に収納して言葉を続ける。 「家に帰るまでが仕事だからね」 「なるほど」 「むしろ今から本番ってヤツか。最悪だぜ」  よく考えてみれば、彼等は親玉(ラスボス)に食われた先で戦闘していたのだ。  つまり雄の魔法によって肉体が消滅し、化物(ポーン)と同じようにた仲間を呼び寄せる異臭が辺りに散漫してしまったのだ。  指先でメガネを修正したキョウは納得した様子で、大空に姿を現し始めた化物(ポーン)を見据え。続いてコメントしたリョーイチは、何処からともなく姿を現した地上の化物(ポーン)に悪態を吐いた。 「使えるもんは使ってけよ~」 「あれ? ヒビキさん、シュバルツは?」 「少し先の未来で待ってるとか言ってたよ」  そう言って落ちてた銃器片手に歩み寄ったヒビキは、シュバルツのことを尋ねてきた雄に預かった銀時計を手渡した。
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