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「それにしてもフレム君。随分無茶なことしたようだね、回復石は?」
「飲み込まれた後に使った」
すると雄の下に駆けよったムグルは、黒髪が焦げ茶へと変化している事に気が付いて、首に下げていたアクセサリーを差し出した。
「ボクはまだ戦えるから」
「ありがとう」
ムグルも結構な魔力を消費しているが、この場にいる全員を現場から退避させる魔法は雄しか使用出来ない。
それを自覚している雄は、コヅキとジークが化物を捌いている内に障壁を解除すると、ムグルからアクセサリーを受け取り。早速トップとなるクリスタルを噛み砕いて魔力の回復を行ってから、ヒビキから手渡されたシュバルツの懐中時計の蓋を開けた。
ーー秒針が動いているーー
しかも時計としての役割も果たしているところからして、シュバルツの魂は無事肉体へと戻ったようだ。
けど預かった懐中時計に備わった奥の手を使って、この場にいる全員を正確に移動させるには雄独りの力では無理があった。
そこで雄は、一旦懐中時計の蓋を閉じて考えられる呪文を唱え始める。
「時を知らせる銀の軍馬よ
我が声に従い 在るべき姿において
我らを軍旗掲げし 汝の主の下へ導かん」
こうなると雄の守りは著しく弱くなる。
それを学習したリョーイチとキョウは、コヅキとジークに声をかけて守備を固め。
「出来るだけ雄の傍に寄って! 来るよ!」
コヅキやジークが苦手とする飛行タイプの化物を二挺の精神銃で捌いてたムグルは、回復した魔力で陣を展開し始めた雄を見て指示を出す。
無論魔法なんてゲームやアニメでしか知らないリョーイチやキョウ達は、来ると言われても何が来るのか分からないまま。急ぎ雄が展開した陣の内側まで移動して__。
ーー発動、時を駆ける軍馬ーー
「シュバルツ!!」
オリジナル魔法の一種のため明確な魔法名はないが、少し先の未来にいるはずの持ち主の名を雄が叫ぶと、眩い閃光の後に黒い数頭の軍馬が陣に出現する。
「乗って!」
咄嗟に指示を出したムグルは、コヅキを抱えて一頭の軍場に股がると、続いてヒビキが股がった馬に傍にいたジークを乗せた。
一方魔法を発動させた雄は、馬に股がって直ぐ銀の懐中時計を指揮棒に変えて先導。
この間にリョーイチとキョウは、何とか単身で馬に股がったが騎乗経験はなく。振り落とされないよう、手綱をしっかり握ったところで軍馬達は一斉に走り出した。
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