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34話/報酬はいかほどに?
「なんか悔しいな」
「そうだな」
護衛を任されたというのに__。
蓋を開けてみれば、
どちらが守られていたのだろうか?
雄の魔法で辿り着いた場所は、謎を解きでお邪魔した孤児院の地下にあるシュバルツの隠れ家の隠し部屋で。リョーイチ達は、イヌカイが乗ってきたワゴン車に乗って、サンシャイン・シティまで移動出来るよう手配されていた。
「もっと上手く立ち回れたら、雄が魔力切れを起こさなかったと思うか?」
「魔法が使えないオレに聞くなよ」
でもキョウが何を振り替えってそう思ったのかぐらいは、直感を働かせなくてもリョーイチには分かっていた。
あの時、雄は一度魔法を練り直している。
それがどれだけ凄いことで、
どれだけ身体に負担がかかる作業なのか。
彼等は知らなかっただけだ。
すると待機中、魔法を使用したムグルと会話をする余裕があったジークが心当たりを二人に教える。
「ムグルさんの話によると、地元で魔法を使うより身体に負担が掛かるから。普段使わないような魔法は特に控えてるそうです」
「特に辺りが明るくなった瞬間。ムグルさんのポーカーフェイス崩れたから、何かあったんじゃないかって心配したんだからね!」
「悪い」
反射的にキョウがコヅキに謝るが、話を聞いたリョーイチは、魔法を放つ前に雄が声を掛けてきた瞬間を振り替えっていた。
ーーリョーイチ、キョウ!
フォロー宜しくーーー
雄は、どうもプラス思考に物事を考えない癖がある。だから最悪な事態の想定もそれなりに出来るはずだ。
それなのに雄は、リョーイチとキョウに頼って勝負に出たとしたら……。
「リスクは承知の上だった、てことか」
「雄ちゃんに感謝しないとね~」
「ホントっすよ、ヒビキさん」
「報酬を用意するんですか?」
リョーイチの発言に続き、助手席に座っていたヒビキが軽い口調で言ったので、運転していたイヌカイが圧した。ジークもこのままだと報酬を取り下げたままので、礼を尽くすチャンスとばかりに質問するのだが__。
シュバルツが現金報酬を受け取らないことから、ヒビキが拈り出した報酬内容は至極単純なものだった。
「今年の年末は、おかわり自由の軍人カレーで締めくくるぞ~!」
『え~っ!!💦』
今日がクリスマス当日なら土曜。
残る金曜は12月31日しかないと気付いたヒビキの粋な計らいだったが、車内はセンスのない報酬に文句の嵐に包まれるのであった。
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