★35話/ENDからの

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★35話/ENDからの

 それから30分後__。  軽い食事としてシチューを数回おかわりを繰り返した雄は、ようやく思考回路が復活したところで会話が成り立つ。 「あー、生き返ったぁ✨」 「〆はキョウ君お手製のフォンダンショコラに、リョーイチ君からスポドリの差し入れがあったよ」 「ありがと♪」  まだ食うのか、と思う反面。  今度はきちんと味わって食しているようで、差し入れした二人はホッと肩を下ろす。 「報酬は受け取った?」 「おう」 「新年迎えれそう?」 「あぁ」  雄の問いかけに、リョーイチとキョウが交互に返答すると、雄は満足そうにキョウお手製のフォンダンショコラを味わった。 「そう言えば、年末の31日。軍人カレーにするから食べにおいでって。ヒビキさんからお誘いが来てるよ」 「ヒビキの奢りだってよ」 「奢り? でも依頼取消を受けたような?」  ムグルとシュバルツの話を聞いて、首をひねって経緯に疑問を抱く雄。尚、シュバルツの頬に見事な紅葉が出来たのは、ムグル以外目撃者はいなかったりする。 「ちゃんと一発殴れたからじゃないの? グーじゃなくて、パーだったらしいけど」 『え?』  結果は知らなかったにしても、話の内容を理解したリョーイチとキョウは、傍に控えるシュバルツの顔を見た。  痕跡はないが、ヒビキが嘘や偽りで報酬を与えることはないので。真っ向からビンタを受けたシュバルツの様子を想像しただけで身が震える。 「それでちったぁ反省したの?」 「そのためにヒビキの願いを叶えたのかよ」 「でなきゃ反省どころか、相手に気持ちを伝えるチャンスなんて無いに等しいだろ?」 「大きなお世話だ」  けど図星を指されたシュバルツは、居心地が悪そうに雄から目を反らして、テレパシーでこっそり礼を述べた。 「で、お前等は此れからどうすんだよ」 「カレーを食いに行く✨」 「そうじゃなくてよ💢」  ボケたにしては真面目に答えた雄に、苛立ちを見せながらリョーイチが突っ込みを入れると、ムグルが気を利かせて応じる。 「此処で新年を迎えるつもりだよ。親玉は倒しても、残党がいるだろうから。此処を拠点に活動することになるんじゃないかな」 「言っとくけど、俺の給与が減るだけだから雇わないよ」 「ちっ」  ーーと、雄のコメントに舌打ちして見せたのはリョーイチである。キョウもあわよくばとは思っていたが、世の中そう甘くはない。 「良い小遣い稼ぎになると思ったのになぁ」 「リョーイチは弾数節約するだけで、財布が豊かになると思うよ」 「後ビールを控えるかだね」 「まったくだな」 「喧嘩売ってのか?」  勢い任せで物事を決めるリョーイチをよく知るキョウは、雄とムグルの指摘に納得。  でも本気で言った訳じゃないので、喧嘩になる前に話題を変えてしまう。
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