12話/能ある鷹は爪を隠す?

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「何から勝負しようか」 「今なら射撃が空いてるよ」 「それじゃあレンタル品で勝負しようか」  ムグルからの質問にイヌカイが答えると、すかさず提案することでヒビキの狙いを封じ込め。異議を唱えると、本音がバレる流れを作り出してしまうムグル。  それもこれも愛用してる武器の秘密を守るためと、(フレム)が便利な機能に頼ってしまわないためだ。 「勝負は分からない方が、フレムもやりがいがあるよね?」 「うん、まぁ……。自信ないけど……」  そもそも(フレム)の得意な戦闘は、魔法使用による接近戦である。愛用してる武器を封じられると、射撃技術は平均的で。銃器を荒っぽく扱っているリョーイチと比べても、命中率には低いかもしれない。 「おい、キョウ。お前、フレムに助けてもらったんだろ? 実力どうだったんだよ」 「申し分はなかった」  余りにも自信なさそうにしている(フレム)を見て、リョーイチがキョウに耳打ちすると、彼は出来事を振り替えって答えた。  けれどレンタルした武器での射撃技術は、動かない的は百発百中でも。的が動いたり、連続で射撃すると、その反動で銃身がブレ。結果最下位の成績でフレムは終わった。 「フレム君」  勝負を始める前から自信が無いとは言ってたが、リョーイチに僅差ではなく。大差で負けてる時点で、愛用してる武器に頼りすぎである。  相方を呼びんだムグルは、テレパシーで(機能に頼りすぎだよ)と忠告すると、落ち込んだ様子で(はい)とテレパシーで返したフレムが声に出して負けを認める。 「(鰤の代金は)全額俺が払います」 「なに、あっさり負けを認めてんだよ!」 「ムグル、お前……。フレムが負けると見越して挑発したな💢」  納得いかないとばかりにリョーイチとキョウが文句を言うが、(フレム)は気付いてたようで反論無し。ムグルも「嘘は吐いてないよ」と言って、二人を利用したのは認めても勝負に不正は無いと主張した。  そこで実力を図っていたジークは、相手の意見を尊重しながらも提案する。 「まぁ確かに、不正は見受けれませんでしたし、公平なジャッジをしたつもりではありますけど……。フレムさん、お面返上(リベンジ)する気はありませんか? 貴方が勝てば、必要経費として全額負担します」  つまり、フレムが勝てば代わりに支払うと言う寸法だ。  無論もしものことを考えて、事前にヒビキ本人から許可を得ているジーク。自分が支払う訳じゃないので、心置きなく(フレム)にやる気をださせる餌として活用する。  けれど競争心の薄い(フレム)は、悩ましい顔でムグルにアイコンタクト。アホウなことをしでかせば、相方であるムグルに迷惑をかけることから、反応によっては断固として断ろうと考えていたのだが……。 「いいんじゃない? リベンジの内容にもよるけど。君が相手をするの?」 「いえ、僕は刃物を扱う攻撃を得意とする者なので。肉弾戦が得意な(リョーイチ)に命運を託そうと思います」  そう言って、指名したリョーイチを手招きすると、「どちらが買っても鰤はヒビキに支払わせるので、彼の実力を図ってください」と耳打ち。リョーイチは、そう言うことならと快く引き受けると、自信喪失中のフレムに話しかける。 「フレム! ひとまず準備運動しようぜ」
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