★13話/能ある鷹は爪を隠す?(2)

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「イヌカイさん。そう言う指示の仕方は、逆効果ですよ」 「どうしてくれるんですか!」 「ごめん💦」 「目が慣れたみたい  キョウとジークに責められ、反省の色を浮かべるイヌカイ。でも(フレム)の方は、ミッドを外したリョーイチのスピードにちゃんと対応して見せる。 「目が慣れたみたいだね」 「凄い! フレム君✨」 「問題は、どう勝敗を決めるかだ」  ムグルの解説にコヅキが感心する一方で、リョーイチの性格から問題を指摘するキョウ。今のとろ(フレム)は、リョーイチの攻撃に合わせて対応してるだけで、反撃に転じる様子がない。逆を返せば、いつでも反撃に打って出れる余裕が(フレム)にあるということである。  それでは勝っても負けても、リョーイチが納得しないだろうし、引き分けなると折り半となるため。わざと白黒付けない、という選択は期待しない方が良いだろう。 「ヒビキさんを呼んで来ようか?」 「その内来ますよ」  イヌカイの提案を易々と却下するジーク。  年齢はイヌカイの方が上だが、職場では同期生だからこその対応である。  それに(フレム)の実力を知る相方のムグルは、心配するどころか。ギャラリーから手加減している(フレム)を煽る。 「フレム君! 受け身ばかりじゃ、練習になんないよ!!」  するとリョーイチと違って周りが見えてる雄は、やり返せとばかりにジャブパンチをするムグルに困った表情を見せた。 「他人事(ひとごと)だと思って……」 「おい、なに余所見してんだよっ💢」  弄ばれてるように避けられてるだけでも癪に触るのに、余所見をする余裕を見せ付けられて苛立ちを(あらわに)にしたリョーイチは、右ストレートで勝負に出た。  ーーどうせ、また避けられるーー  それを見越して、次の手にキックを考えていた程、雄に何としても一撃を食らわせたろうと考えていたのだが__。  避けるのではなく、攻撃を受け流したと同時にリョーイチの右手腕を支えに頭を狙って遠慮なく右足キックをしてくる雄。  リョーイチは、咄嗟に左腕を盾に攻撃を防ぐと、初めて反撃してみせた雄から間合いをとり__ 「おい、ハンデが有るなんて聞いてねぇぞ」 「靴に仕込んであるもんは仕方ないだろ?」  打撃の強さとは別に重さを感じたので文句を言うと、それは不可抗力だとばかりに反論する(フレム)。恐らくポーンの仮面を蹴りで破壊するための工夫なんだろうが、それで素直に納得するリョーイチではない。
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