★13話/能ある鷹は爪を隠す?(2)

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「イヌカイさん、いざとなったら死ぬ気で止めて下さい」 「手伝ってはくれないんだね😇」  ジーグが時計を確認すると、まだ余裕があることから、自分より体格の良いイヌカイに指示。リョーイチの実力を知るイヌカイは、涙を飲んで腹をくくる。  ヒビキに実力を図るよう仰せつかってるとは言え、客人でもある相手を傷付けてしまうと、今後の信頼関係に難が生じるからだ。 「まぁ心配ないと思うけどね」 「そんなに強いの? フレム君」 「危なっかしいところはあるけどね」  雄の身を案ずるコヅキに、決して雄が器用とは言えないことを認めるムグル。  けど異世界で仕事をするためには、様々な条件を満たす必要があり。雄の場合、記憶が欠如してることから突然の体調不良が考えられるものの。接近戦からサポートまで出来る柔軟性を持ち合わせ、得意不得意があっても魔法は全ての属性を操る事が出来る優れた人材の一人だ。  魔法を使わずして、どう手加減すれば自然に見えるのか考えることに必死で、思考より先に手が出てしまうリョーイチとは相性最悪のようだが__。 「オレを舐めてんのか?!💢💢💢」 「それはないけど💦💦💦」  これは避けれないと判断したリョーイチの左キックを封じ込めるように右足で防ぎ、間合いを取り直してから同じタイミングでお互いキックで相手の出方を伺ってから拳を合わせ。雄もリョーイチも相手のパンチを上手に防いでいるので怪我はない。 「互角?」 「いや、フレム君がリョーイチの攻撃パターンに合わせてるだけだよ」  ジーグの呟きにムグルが冷静に答えるが、短時間で相手の攻撃を読めたとしても互角にもっていけるとは限らない。  実際、普段今以上のスピードで肉弾戦を行う雄にとって。今いる世界のスピードは、スローモーションではないにしろ。動作の予兆に気付き易い速度のため、後出しでも十分対処出来るだけである。  故に技を技で返し、      防ぐ事は問題ないのだが__。  目が慣れてきたリョーイチに拳を手の平で受け止められた瞬間、危機感から次の一手に遅れが生じ、そこを狙って仕掛けてきたリョーイチのパンチを雄も捕らえるように手の平で受け止め__。  お互い利き手を封じられ、相手の拳を離すわけにもいかず……。まさに力業による力比べとなった時、顔を歪ませて足を踏ん張ってるはずの雄がズルズルと少しずつ後退を始める。 「やっぱり力業にもってこられると、リョーイチ君の方が有利になるね」 「体重も明らかにフレムの方が軽いだろ?」 「しっかり食べさせてはいるんだけどね~」  二人の戦況を眺めながら困り顔で言うムグルに対し、気になっていた事をキョウが尋ねてみれば、そういう体質のようだ。  雄自身、ヤバいと思って力を入れるがーー
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