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「やぁ♪ 初めまして、よく来てくれたね。君達に危害を加えるつもりはないから、気を楽にしてほしいな」
てへぺろっとばかりにおどけて見せるが、ヒビキの思わぬ一面を見てしまった雄は、子犬のように震えていた。
「ヒビキさん、お仕置きは客人に見えない所でしないと」
ひとまず手加減したことから、倒れた二人の回復は早かったものの。ムグルの横にびったりついてる雄の様子から、溜め息混じりに注意するジーク。
ただヒビキが凸ピンの刑を処する理由は分かりきっているので、躾をするなとは言わなかった。
「いやぁ~、もうね。警報を無視して外を出歩くわ。荷を蹴散らしながら鬼ごっこするわ。客人に勝ちを譲らないわ。俺も我慢の限界が有るわけよ、分かる?」
「いや、鬼ごっこの件はオレの所為じゃねぇし」
「右に同じく」
「シャラーップ! 連帯責任ってやつだから、引き留めなかったキョウちゃんにも責任はある!!」
ぷんぷんとお茶目に怒りながら、不満げな顔を浮かべるリョーイチとキョウに小言を聞かせるヒビキ。
悪い人ではなさそうだが、叱られる3つの項目に心当たりがある雄は、ムグルを盾に怯えていた。
「お、俺も凸ピンの刑に処されるのかな?」
「さすがに客人にはしないと思うよ」
実際ヒビキは、リョーイチとキョウを叱った後。両手を叩いて周囲を黙らし、注目を一心に浴びたところで、野次馬と化した部下達に声をかけ始める。
「はいはい、これにて馬鹿騒ぎ終了~。壁の修繕ヨロシク頼むな、イヌカイ」
「俺っすかぁ?!」
流れるように面倒事を部下に押し付けるのも慣れたもので、粗方場が収まったところで踵を返すと、雄とムグルに声をかける。
「さて、本題は場所を移してから話すとして。改めてご挨拶させてもらうよん♪」
「貴方がヒビキさんご本人のようですね」
陽気で無害を主張するヒビキに対して、ムグルが怯える相方を守るように発言。
怒っているようには見えないが、警戒心を与えてしまった自覚はあるので。ヒビキは、にこやかに「その通り♪」と答え。ジャージ姿でありながら、姿勢を正してホテルマンの如く歓迎の一礼をして見せる。
「突然のお声かけにも関わらず、お越し頂き感謝いたします」
「軍服であれば、フレムを連れて帰らせてもらうところでしたよ」
「この度は、あくまで私用なもんでね。リョーイチ、キョウちゃん。ご苦労様」
ムグルの牽制にへらっと対応するが、これ以上お気に入りを巻き込んではならないと判断したヒビキは、さらりと二人に任務終了を告げた。
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