14話/我、汝を凸ピンの刑に処す

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 けれど相方の悔しそうな表情を一瞥したリョーイチは、ダメ元でヒビキの発言に食らい付く。 「ちょっと待てよ。勝手に依頼人(クライアント)を連れて行くなよな」 「依頼人(クライアント)?」 「東京の地理に疎いんで、俺が勝手にを兼ねて案内人として雇ったんです」  リョーイチの意図を察した訳ではなく。  ヒビキに警戒心を抱いた(フレム)は、保険を兼ねて話に乗った。  これで例え騙されたとしても、逃げる隙が出来るはずだと考えてのことである。 「聞いてないよぉ、キョウちゃ~ん💦」 「俺等の私用(プライベート)のことなんで、報告しませんでした」 「ぶぅぶぅ。もう身内なんだから、教えてくれたっていいのにさ~」 「俺は認めてませんから」  実は、キョウの姉とヒビキが婚約した関係で。キョウにとってヒビキは、義兄にあたるのだが……。今や唯一の肉親となった姉を取られた事もあって、ヒビキの前ではなかなか素直になれないでいた。 「しょんなハッキリと言わなくても~😭」 「気持ち悪いんで止めてください」  大体そんな泣き言を言うのなら、少しは身内として信頼して欲しいと思うのだが……。  恥ずかしさが勝ったキョウは、ヒビキを冷たくあしらった。 「とにかく、そう言う訳だから。フレムに同行させてもらうよ、さん」 「う~っ」  まさか、こうもあっさり(フレム)が二人を雇うなんて思ってもいなかったヒビキは、悔しそうに唸った。  そして今度は、キョウに便乗してコヅキが挙手する。 「はいはーい! 私も同席した~い❤️」 「ダ~メ」    この場を楽しんでるだけだと判断したヒビキが断りを入れるが、口の達者な彼女も負けてはいない。 「ぶぅぶぅ、そう言うことなら……。ムグルさん、私を雇ってぇ~♪」 「いいよ」  可愛く両手を合わせて、傍にいたムグルにお願いすると、仲間外れはいけないだろうからとあっさり承諾。此れにはヒビキも思うところがあるようで、ガックリと膝を付いた。 「早速裏切られましたね」 「ジーク、私は生活のために仕事を得ただけだからね。裏切りなんて心外だわ」  そもそも彼女は、ヒビキに報告をしたところで、引き受けた仕事を終えていた。  発言に気をつけて欲しいと、毛先を指でいじっていた横髪をさらっと流したコヅキは、ツンといじけた態度をとってみせる。 「また高い買い物されたんですか? 今年の冬は、一段と激しくなるそうですよ」 「だからこれから稼ぐの!」 「女の子は色々と大変だね。ジーク君は、軍人だから収入は安定してそうだけど」 「ーー貴方がたはどうなんですか?」  私情を挟む質問なので、気分を害しないかと心配に思ったジークだが……。ムグルは、そんな事ぐらいならと軽く口調で返答する。 「ボク等は、生活に困らない程度には稼いでるよ。雇用の賃金は経費から落としてもらえるよう、交渉するつもりだしね」 「さすがムグル✨」 「だけどフレム君は、私用で雇った方がいいと思うよ。前回の件で個人の限度額超えてるからね」 「がーん!」  自腹を覚悟してた(フレム)は、ムグルの提案に目を輝かせたのも束の間。相方が何を言いたいのか理解したところで、あからさまにしょんぼりと落ち込んだ。
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