14話/我、汝を凸ピンの刑に処す

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「そちらも、色々と事情を抱えているようですね」 「ボクの相方は、当たりくじをよく引き当てるもんだからね。どうしても経費が(かさ)むんだよ」  実際ある程度の実力があるのに、一般人の枠をキープしながら知り合いの軍人がトップクラス。しかも探している仲間の事を知っている人材に短期間で辿り着くなんて、どう考えても運が良いとしか言いようがない。  おまけに彼らの意思で雇用継続を望んでくれるとは、願ったり叶ったりの状況である。 「まぁ好きにするがいいさ。俺はフレム君に用があるだけだし~」 「めっさ距離置かれてんじゃん」  モチベーションを取り戻そうとヒビキが言うと、余計な突っ込みをするリョーイチ。  だけど致し方ないと割りきって、申し訳なさそうな表情を向けると、(フレム)は(訳ありなのかな?)と理解を示して、少しムグルから離れた。 「とにかく、君達を捕って食おうなんて考えてないから。安心して付いてきてほしいな」 「先に用件をお伺いしても?」 「君達の仲間であろうシュバルツの事だよ」  ムグルの質問にヒビキが即答すると、ムグルと目を合わせた(フレム)が頷いたことで、ようやく場所を移すした。  その間の移動中、ヒビキは(フレム)の事を知ろうと、隙を見て質問を重ねる。 「フレム君は記憶障害だと、部下の報告で聞いてるけど……。シュバルツのことは覚えてるのかい?」 「少し」  怯えて何も答えてくれないかと思ったら、意外と気さくに質問に答えてくれたので、ちらりと後を付いてくる(フレム)を一瞥するヒビキ。  どう見てもシュバルツと同期のようには見えないし、職場で気が合った弟分といったところか。だけど(フレム)の事を話すシュバルツの様子からして、尊敬しているようだったので。裏があるのではと考え直す。 「赤い鉢巻をした若い子だって聞いてたから、報告を受けて直ぐに分かったけど」 「職場の経歴は俺の方が長いんで、こう見えて先輩後輩の関係なんだそうです」  ヒビキが抱いてる疑問を察した(フレム)は、不思議に思われないよう嘘を言わない範囲で返答。実際は(フレム)の方が長生きしてる上に、職場の先輩であり指導者だったこともあっての関係なのだがーー。 「あー、なるほどね。それでフレム君の方が仕事が出来ると誉めてたのか」  今の軍組織も年齢ではなく実力主義なこともあって、あっさり納得するヒビキ。現にジークも、経歴としては若手だが、実績から今やイヌカイより高い地位に就いている。 「ヒビキさんは、どういった関係で?」 「え?」 「シュバルツさんと、仲が良いんじゃないんですか?」  まさか先程まで怯えてた(フレム)から質問を受けると思ってなかったヒビキは、少し面食らった反応を見せると、改めて質問する(フレム)。そこで最初は、友達だとはっきり言いそうになるヒビキだがーー。 「アイツとは腐れ縁なんだよ。だから、どうしても無視出来なくてね」 「そうなんですか」  だけど、その言い回しで。逆にシュバルツとヒビキの関係が深いものてまあると気付いた(フレム)は、嫌な予感を覚えた。  
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