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「その、欲しいものっていうのは?」
一瞬シュバルツの私物である銀の懐中時計が浮かんだが、先程まで怯えていたとは思えない悪戯っ子のような微笑みを称える雄を相手にしどろもどろになるヒビキ。
後方で見守るリョーイチ達は、(珍しいな)と他人事として見ていられるがーー。
彼等は外部の人間だし、後ろ楯が分からないだけに、色々と雄にとって有益な報酬を考えるが、一概にコレといったものがないだけに末恐ろしいものを感じる。
「言っとくけど、軍に関する情報は」
「必要ありません」
「リョーイチ達の雇用負担?」
「そんな事したら、いつ裏切られても可笑しくない状況になりますよね?」
ーーそれもそうだ。
せっかく味方に付けたというのに、ヒビキの管轄に戻すような馬鹿ではないらしい。
では雄が欲しいと望む報酬とは?
顎に右手を添えて必死に考えるヒビキだが、雄がタイムオーバーとばかりに欲しいモノをにこやかに口にする。
「だから報酬は、軍人カレーにして下さい」
「は?」
「お代わり自由で」
「お代わり自由で?」
「サラダも付けてくれると嬉しいです!」
「はぁ」
「数量限定なんですよね?」
「あ、あぁ」
「金曜に食べれるって聞きました」
「まぁ確かにそうだけど……。そんな報酬でいいの?」
想像してた報酬とは全く異なった路線で、念のためヒビキが確認を取るのだが、雄は迷うことなく「はい」と肯定した。
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