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「失敗に終わったんですか?」
「あぁ。駄賃渡して、慰めてやったとこだよ。それより彼奴等、やっぱり後先考えず契約してたのか」
「フレムさん……いえ。雄さんの方は、考えがあってのことだったようですけどね」
事前に弾薬の事を含めて、リョーイチ達の動向を電話で報告していたジークは、「いつもの事ですよ」と締め括った。
「それで、雄ちゃんが言ってた事。調べてきてくれた? 荷札の控え」
「はい。結論から言うと、控えは残っていませんでした」
「やっぱり、そうきたか」
雄に指摘されてから嫌な予感がしてたヒビキは、驚いた様子もなく手を止めて言った。
「俺も念のため名簿を確認した。相手は顔馴染みの新人、1年前に入隊した奴だ。掛け持ちで仕事しているから、正確なタイムスケジュールまで調べきれなかったが……。警報を誤作動させた後、現場に駆り出され、死亡した事になっている」
「死亡、ですか。どうも不自然ですね」
確かに誤作動した警報であっても、マニュアルにそって、警護のため出陣要請が出されたが……。死人が出るような大きな戦闘にはならなかったはずだ。
「シュバルツの個人的な仲間の可能性を考えた方が自然だろうな。でなきゃ、ジークに調べるよう言わなかったはずだし」
「そうですね。明日、更なる手掛かりが掴めるといいんですけど……。戻ってきますかね? あの二人」
何の疑いもなく解散してしまった様子を振り返ったジークは、不安を打ち明けるようにヒビキに言った。ぶっちゃけweb検索が充実してる今、案内がなくても住所さえ知っていれば目的地に行ける世の中である。
するとヒビキは、無責任に「さぁ?」と答えて煙草をふかしながら言葉を続ける。
「彼等の仕事に関してはノータッチだし、雄ちゃんも物のついでとか言ってたからね。普通は逃しちゃいけない場面だと思うよ」
「イヌカイさんに尾行頼んでましたもんね」
だけどリョーイチ達は、彼等を信頼してるからこそ。兎や角言うこと無く、待ち合わせの場所と時間を指定したのだろう。
「まぁ彼奴等の判断を見守るのも経験の1つだ。暫く様子見でいいんじゃないか?」
「それもそうですね」
しかし、今回は私用だからと言って、ヒビキに嘘を言ってたのが気になったジークは、サンシャインシティのホテルで明日の準備のため銃器の手入れをしていたリョーイチとキョウの部屋をノックした。
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