16話/消えぬ繋がり

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 一方リョーイチ達から一旦離れることが出来た雄とムグルは、隠れ家のカウンター処で情報を整理し、これからの事を相談していた。但し雄は、一度横になってたものの。リョーイチとキョウのLINEが気になって、寝れずに起きてきたパターンである。 「あれから特にコメントがないねぇ。ブロックされてないと安心して、明日の準備を始めたのかもしれないよ」 「それなら良いんだけど……。ヒビキさんに連絡先教えてたりすんのかなぁ? 釘を差しとけば良かった」  相手が軍人なこともあって、頼みは聞いても連絡先はわざと教えなかった雄は、ヒビキと仲が良さそうなリョーイチとキョウの動きを気にしていた。  片や相方のムグルの方は、アポイントや報告を済ませたスマートフォンの画面を消し、軽く口調で言葉を返す。 「そんな気にすることないと思うよ。雄自身が軍人を嫌ってる訳じゃないんだし、ヒビキさんもボク等の仕事に関してはノータッチだったじゃないか。分かってるんだよ、踏み込んじゃいけないラインが」 「それなら良いけど……。あの人、敵に回しちゃいけないと思った」 「アリアス上司と詮吏(せんり)副上司を足して二で割ったような人だったよね。底知れぬ実力者感はあったよ」  それでも和やかに交渉を成立させたのは、雄ならではの持ち味だろうと思って、ムグルは高く評価していた。 「記憶の方は大丈夫なの?」 「多分今晩が山場だよ。次から次へとフラッシュバックのように画像がチラついて、集中出来なくなってるから」 「その状態でよくカツ丼奢らせたね」 「食える時に食わないと、東京(ココ)じゃあ食えそうにないからさ」 「まぁそれは言えてるかもね。楽しみにしていた様子とは違うし、水族館ではガチャやお土産を買い損ねたもんね」 「そうだよ! せめて饅頭とかクッキーを買って来れば良かった、糖分が恋しい😭」 「ご臨終様」  拳を固め、カウンターで突っ伏す雄にムグルが慰めの一言をかけると、更にチラついてきたフラッシュバックに耐えきれず。雄は、カウンター席から腰を上げて寝床に向かった。 「寝てくるの?」 「うん。今寝たら十時ぐらいに起きて、ムグルに回復魔法かけてもらったら、復活しそうだから」 「無理しちゃダメだよ」 「分かってるよ。だけど大事な約束を思い出しそうなんだ。ヒビキさんを守ってほしいっていう、あのメッセージにも。何か意味があるんだと思うんだよね」 「それでも無茶はいけないよ。この世界には、化物(ポーン)がいるんだ。ボクの回復魔法を使っても体調がよくならなかったら、予定はキャンセルするからね」 「分かった。おやすみ、ムグル」  するとムグルは、優しく微笑んで「行ってらっしゃい」と声をかけると、祈るような想いで雄の背中を見送りながら「良い夢を」と呟いた。
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