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それから雄が目を覚ました時には、シュバルツがどんな奴で。何故ヒビキに大切な時計を預けたのか、理解出来た状態だった。
ボサボサの黒髪頭で起き上がると、ぼんやりと見ていた夢の続きを思い出す。
あの後、俺は__。
シュバルツを引き留めて……。
名前は聞いてないが、あの日シュバルツが言ってた<親友>と言うのは<ヒビキ>の事なのだろう。そして、箱の底に書かれたメッセージと時計の状態がシュバルツの現状に繋がるヒントだとしたら__?
中身は動いてるのに、
文字盤の針が動いてなかった懐中時計。
「……肉体が死んでるとか、ないよな」
シュバルツが生粋の死神ではない事は知っているが、彼が使用出来る魔法や特殊能力を全て把握してる訳じゃない。
しかも上手い具合に思考が働かず__
ムグルが様子を見に訪れても、雄は暫くボーっとしていた。
「おはよう、気分はどう?」
「最悪だ。シュバルツが命を掛けて、時間稼ぎをしてる可能性がある」
「ヒビキさんのために?」
「分からない。でも助けを必要としてるのは確かだから……。今日は絶対、シュバルツの自宅に向かう」
「予定の変更はないって事だね」
微熱ぐらいはあるだろうに、拳を固めて言い切る雄の眼差しは本気だ。こうなったら言うことを聞かないと知ってるムグルは、回復魔法を雄に施た後。自前のスマートフォンからグループLINEを開いて、リョーイチとキョウに予定の変更は無いと告げた。
すると確認したリョーイチとキョウは、ジークに予定の変更は無いと報告し、窓越しに晴れ間が見えてきた空を見上げて、ニヤリと笑みを溢した。
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