20話/敷かれたレール

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 一方、シュバルツの話が理解出来る雄は、経緯を知った上で出したシュバルツの決断に頭を抱えていた。  経緯としては、この東京に化物(ポーン)が出現し、回収もしくは破壊を求められていた時計ごと。持ち主が化物(ポーン)に喰われてしまったことから、時計の影響を受けた化物(ポーン)の居所が分からなくなったことで計画が難航。見つけた時には、仲間に犠牲者が出る程の力を手に入れていた。  しかも化物(ポーン)としての本能が残っているため、この世界の住人を食らい続けていることから。シュバルツは応援要請をした後、肉体を隠して幽体離脱すると、倒すべき化物(ポーン)に憑依することで。化物(ポーン)の本能を抑制し、目印としての役目を果たすそうだ。  しかし、その行為にも限界が有り。  ホールにあった柱時計が24時を差す頃には、シュバルツの魂が消滅すると言う。  そこでシュバルツが憑依している内に、目的を果たして欲しいとの事だが……。  憑依対象を倒して、シュバルツが無傷で済むとは思わない。かと言ってシュバルツの憑依を解除すれば、犠牲者が出る可能性がはね上がってしまう。  ーー主人を……。シュバルツを       どうか、お願いしますーー  部屋を後にしたマリナの台詞が、雄の頭を過った。何か嫌な予感がして顔を雲らせる雄だが、映像は予定通り再生される。 [さて、ここまでフレムがいる前提で話してたけど……。念のため、日本語で要点を話しておこうか]  全く話が分からなかったリョーイチ達は、「よっしゃ!」「待ってました!」と喜びを(あらわ)にするがーー。  今まで経緯と策を聞いていた雄は、胸騒ぎから生唾を飲みこむと、顔色を一変させたシュバルツと対峙する。 [さあ絶望のカウントダウンを始めようか。 せっかく来てくれたフレムには悪いが、本気の殺し合いといこうぜ]  ーーっ!?  突然の宣戦布告に、前もって経緯を知ることが出来た雄も驚いた。シュバルツは、すでに死ぬ覚悟で作戦を実行に移していたのだ。 [記憶を失った今、他に解決策は無いはずだよな?] 「勝手に決め付けるな!!」  悪役面のシュバルツに向かって、感情を爆発させた雄が言い返す。握りしめられた拳ごと、黒いスケジュール帳がぐしゃりと握りつぶしてしまう程、彼はシュバルツの作戦に不満を抱いていた。  しかし、目の前にいるシュバルツは映像のため。掴みかかることが出来ないどころか、相手を納得させぬまま話を締めくくる。 [ヒビキをよろしく頼む]
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