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一方、シュバルツの話が理解出来る雄は、経緯を知った上で出したシュバルツの決断に頭を抱えていた。
経緯としては、この東京に化物が出現し、回収もしくは破壊を求められていた時計ごと。持ち主が化物に喰われてしまったことから、時計の影響を受けた化物の居所が分からなくなったことで計画が難航。見つけた時には、仲間に犠牲者が出る程の力を手に入れていた。
しかも化物としての本能が残っているため、この世界の住人を食らい続けていることから。シュバルツは応援要請をした後、肉体を隠して幽体離脱すると、倒すべき化物に憑依することで。化物の本能を抑制し、目印としての役目を果たすそうだ。
しかし、その行為にも限界が有り。
ホールにあった柱時計が24時を差す頃には、シュバルツの魂が消滅すると言う。
そこでシュバルツが憑依している内に、目的を果たして欲しいとの事だが……。
憑依対象を倒して、シュバルツが無傷で済むとは思わない。かと言ってシュバルツの憑依を解除すれば、犠牲者が出る可能性がはね上がってしまう。
ーー主人を……。シュバルツを
どうか、お願いしますーー
部屋を後にしたマリナの台詞が、雄の頭を過った。何か嫌な予感がして顔を雲らせる雄だが、映像は予定通り再生される。
[さて、ここまでフレムがいる前提で話してたけど……。念のため、日本語で要点を話しておこうか]
全く話が分からなかったリョーイチ達は、「よっしゃ!」「待ってました!」と喜びを露にするがーー。
今まで経緯と策を聞いていた雄は、胸騒ぎから生唾を飲みこむと、顔色を一変させたシュバルツと対峙する。
[さあ絶望のカウントダウンを始めようか。
せっかく来てくれたフレムには悪いが、本気の殺し合いといこうぜ]
ーーっ!?
突然の宣戦布告に、前もって経緯を知ることが出来た雄も驚いた。シュバルツは、すでに死ぬ覚悟で作戦を実行に移していたのだ。
[記憶を失った今、他に解決策は無いはずだよな?]
「勝手に決め付けるな!!」
悪役面のシュバルツに向かって、感情を爆発させた雄が言い返す。握りしめられた拳ごと、黒いスケジュール帳がぐしゃりと握りつぶしてしまう程、彼はシュバルツの作戦に不満を抱いていた。
しかし、目の前にいるシュバルツは映像のため。掴みかかることが出来ないどころか、相手を納得させぬまま話を締めくくる。
[ヒビキをよろしく頼む]
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