7人が本棚に入れています
本棚に追加
「キョウ、弾数足りるか?」
「ライフルはまだ使ってないからな」
「その代わりハンドガン弾切れしてっだろ」
「さすがにそれは無いわ。代わりに支給品とヒビキさんから預かったマガジン渡しとくから支援よろし頼むわ。リョーイチは雇主を置き去りにしないようにな」
つまり今必要な支援は、スナイパーのキョウであって。接近戦を得意とするリョーイチの出番はないらしい。
「これが東京の現実か」
手榴弾によく爆撃が収まり、銃声が連続して響く頃には、どこぞの戦争と変わりない状況が東京の街中で繰り広げられる。
雄として生きるようになってから、魔法攻撃による戦場は見慣れている方だが__。
沸々と沸き上がる恐怖を圧し殺した雄は、ポツリと感想を述べた後、ムグルとこれからの事を考えてテレパシーで相談。このままだと魔法使用による交戦も考えられると、本部に連絡を入れる事にした。
「ムグルはクライアントに連絡か?」
「うん。ここまで激戦は想定外だからね」
「でも勝戦ですから心配ありませんよ」
リョーイチの問いに、ちょうど本部に連絡を終えたムグルが答えると、得物を納めたジークが誇らしげに応えた。
でも本命が見つかっていない上に、これだけの数が群がって襲ってくること事態が異常だとすれば、どう考えても油断は出来ない。
誘き寄せた化物は、15分程で駆逐され。その30分後には、建造物から出ても問題が無いと判断されたが__。
雲行きが怪しくなってきた午後2時。
軍と一緒に引き上げる事になった雄は、思わぬ気配に張りつめた緊張感に襲われる。
「どうした? 雄」
「帰るぞ!」
車が手配され、少しずつ現場から軍人が引き上げの準備を済ませて移動を始めた頃だ。
誰もいないはずの四車線の大通りを凝視した雄は、キョウとリョーイチの呼び声に応えることなく。車を背に少しずつ歩き始めた。
そこで雄の本命を知らないタカギが、彼の偽名で改めて案内する。
「フレムさん、引き上げますよ?」
けれど雄は、ホルスターに手を伸ばし__
横からキラリと光る一撃をかわした後に、アスファルトが景気よく砕ける音が響いた。
「敵襲!」
「マジかよ!?」
ムグルの一言に緊張が走るが、相手はどうやら雄狙いのようだ。黒いフード付きのロングコート靡かせながら、紅の大鎌を振り回して、一方的に攻撃を繰り返す。
最初のコメントを投稿しよう!