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「そりゃ痛恨の選択ミスだな!」
「まぁそれがバレるのも時間の問題だろうから。明日池袋から離れて、新種の化物が出現するって噂の新宿に拠点を移すつもりだよ」
「随分情報が早いな」
「手帳に書いてあったんだよ。仲間の敗因は、本命の取り巻きにあるってさ。それもノーマル化物じゃなさそうなんだよね」
「そりゃ厄介な事この上ねぇな」
今回出現した取り巻きは、よく見かける化物だったため。弱点である仮面を一撃で割れる強度だったが、新種となると話は別だ。
「出来る事なら、本命と鉢合わせする前に狩ってしまいたいんだけどなぁ~」
「オマエお得意の当たりくじはどうした?」
「ピンポイントに此処掘れワンワン出来ると思ってんの? 出来て、化物が出現しそうな場所を当てるぐらいだよ」
「それでもスゲェ事だっつーの」
見た感じ、アプリなど機器的なものを利用してるようではなかったので。直感的な何かが働いているんだろうと、勝手に解釈したリョーイチは、自身の能力を過小評価する雄に溜め息混じりに突っ込みを入れた。
「リョーイチは、そう言う野性的な勘は働かないの?」
「危機管理は出来てる方だと思うけどな。そう言やぁ巡回の時、進化物に遭遇する前に気付いてたよな?」
「それこそ直感だよ。何か胸騒ぎがしたっていうか」
「ほんじゃ塀に登ったのは?」
「窓開ける音がしたから」
そう言われて記憶を遡ってみるが……。
雄ばかり気にしていたリョーイチが気付けるような音ではなかったらしく、即答した雄に「ふ~ん」としか答え様がなかった。
「なんか納得してない御様子だね」
「見た事ねぇ武器使ってたりしてたしな」
「あー……。あれは、発明者じゃないと説明のしようがないからパスするけど」
「分かってる。オレも野暮な質問はするつもりはねぇけどよ。使える武器は使わねぇと、死ぬぞオマエ」
「ご忠告どうも」
言葉遣いは悪いが、見てて危うさを感じたのだろう。遠回しに人目を気にし過ぎるなと言われたような気がした雄は、リョーイチの心遣いに感謝した。
「因みに、明日同行してくれる人は?」
「オレとキョウぐらいだ。ジークはヒビキのオッサンとこに付くとよ」
「軍人さんだもんねー」
戦力的にはおしい人材だが、立場を考えると致し方無い。それに離れたとしても、恐らくリョーイチとキョウを心配して連絡を取り合ってるような気がしたので。雄は、それ以上のコメントを差し控えた。
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