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「物のついでですし、要は見つけたら情報が欲しいってことですよね? ショバルツさんの私物を肌身離さず持ってさえいれば、持ち逃げなんされることなく。顔を合わせることになるとは思いますけど」
「だろうね。でも、もし親友が見つかったら、いの一番に報せてくれ。1発(殴りに)入れに行きたいから」
「了解です」
ヒビキの固く握りしめた利き手を見て、怯えるどころか。至極当然なことだと受け入れた雄は、あっさりと承諾。そこでようやく肩の荷を下ろしたヒビキに、雄はそれとなく1つお願いする。
「ついでに私用として承りますので、俺の事は雄と呼んで下さい」
「雄ちゃんね。随分交渉が手慣れてるご様子だけど、日常茶飯事だったりするのかな?」
「まぁ、そうですね。それもありますけど、俺も守らなきゃいけない約束があるんで」
「訳ありってことね」
ひとまず交渉が一段落したところで、ズボンのポケットから煙草を取り出したヒビキは、いつもの調子で火を付けようとしてーー止めた。
「そう言えば、雄ちゃんは煙草苦手なんだってね。シュバルツがお陰で外で吸うようになったと言ってたよ」
「そんな事まで話してるんですか?」
「あぁ、手を貸したくなる奴だって聞いてはいたけど……。なるほどね。何となく分かる気がするわ」
「そうですか?」
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