第1話 スライム専門魔物使い

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第1話 スライム専門魔物使い

 スライムがおでこに乗ってくると、頭がひんやりする。 「ふう。やっぱり暑いときはスライムだね」  俺は街の中にある木陰に寝そべり、つぶやいた。  今日も王国はうだるような暑さだ。街にやって来る馬車の馬も暑さにうなだれている。露店を開く行商人も、日に当たらないようにテントの中から出ずに商売をしていた。買い物に出ている街の人たちも、なるべく日の真下を歩くのを避け、日陰をぬって行動しているようだ。  そんな暑さにやられた人々をよそに、俺はひんやりしたスライムに囲まれくつろいでいた。 「お兄ちゃんのスライム、冷たい?」  スライムを頭に乗せた俺の姿を見て、子供が寄ってきた。10歳ぐらいの男の子だ。スライムに囲まれた俺を興味深そうに見ている。 「ああ、冷たくて気持ちいいよ。触ってみるかい?」  俺が額に乗せていた水色のスライムを、少年に差し出すと、少年は少し怯えた顔をしながら言った。 「スライムもモンスターなんでしょ、触っちゃダメだって、お父さんが言ってた」 「ああ、その通りだな。だけど大丈夫だよ。俺は魔物使いなんだ。このスライムは俺の言うことちゃんと聞くから、悪さしないよ」 「そうなんだ」  少年は、僕のスライムを手に取った。 「わあ、冷たくて気持ちいい」 「ああ、そうだろ。やっぱりスライムは最高だろ」 「うん。ねえ、お兄ちゃんの周りにいるスライムもみんなお兄ちゃんの?」  俺の周りにいる大量のスライムたちを見ながら少年が尋ねてきた。 「そうだよ。俺は昔からスライム大好きでね。スライム専門の魔物使いなんだ」 「スライム専門の魔物使い? そんな人いるんだね」 「うん、まあ、そんな魔物使い俺だけだけどね」 「おい変態スライム野郎、仕事だぞ」  横から男が話しかけてきた。俺と同じ魔物使いのセルだ。この男は魔物使いらしく、ドラゴンの子供を肩に乗せている。 「誰か変態スライム野郎だ。俺にはちゃんとルーカスといる名前があるんだぞ」 「冗談だよ、ルーカス。それより仕事だ。この町の北にある森でスライムが大量発生しているらしい。調べてくれないか」 「おお! スライムの大量発生なんてテンション上がるねえ! 早速行ってくるよ」 「お前はいつも楽しそうだなあ」  俺は意気揚々とスライム大量発生の地に向かった。    
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