第3話 ニーナ

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第3話 ニーナ

 目的の町についた俺は、早速その子の所在を探ることにした。その子の名前は、たしか「ニーナ」だ。ニーナという、俺と同じ年の女性が暮らしているか尋ねてまわった。  ところが、ニーナという女性の存在は皆知らないという。どうもこの町にはいないようだ。この町からも引っ越してしまったんだろうか。  ニーナの情報が掴めないので諦めようとした頃、教えてくれた人がいた。 「そういえば、十年前ぐらいに行方不明になった女の子がいたんだけど、その子の名前がたしか『ニーナ』だったな」 「行方不明?」 「ああ、突然姿を消してしまったらしい。親御さんもしばらくは探し回っていたけど、結局見つかっていないんだ」 「あの、そのニーナさんの親御さんは、この町にいらっしゃいますか?」 「町のはずれにひっそり暮らしとるよ」  俺は、話をしてくれたおじさんに礼を言い、ニーナの親御さんのところに向かうことにした。この行方不明になったニーナと、俺の初恋のニーナは同一人物かどうかまだわからないが、調べてみた方がいいだろう。
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