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町のはずれに一軒家があった。小ぢんまりした木でできた家だ。早速呼び鈴を押すと、中からおばさんが出てきた。
「どなた……」
「あの、私は魔物使いのルーカスと申します。少しお尋ねしたいことが……」
「ルーカス? あら、あなたもしかして昔、娘と遊んでくれたルーカスくん?」
「え?」
そう言われて、よく見ると、このおばさんの顔に見覚えがあることに気がついた。随分老けてしまっているが、このおばさん、俺の初恋の女の子、ニーナのお母さんだ。
「そう、ニーナを訪ねて来てくれたのね。だけどニーナは十年前にいなくなってしまって……」
「どういう状況でいなくなってしまってしまったのですか」
「まだこの町に越して来てしばらくのころよ。朝、ニーナを起こしに行ったら部屋にいなかったの」
部屋からいなくなったのか。遊びに行って帰ってこなかった、とかではないのか。
「その、部屋とか見せてもらえたりしますか?」
「ええ。一応そのままにしてありますの。もしかしたら帰ってくるんじゃないかって思ってしまって」
ニーナの部屋に入った途端、連れていたスライム達が突然ざわざわしだした。
「どうした」
スライム達いわく、とても大きなスライムの気配がすると言う。
「なんだって?」
しかし、ニーナの部屋にスライムはいない。どういうことだろう。だけどなんの意味もなくスライムが騒ぐとは考えられない。ニーナの失踪と、スライムと、なにか関係があるのか……?
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