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このスライムはなんとしてでも手懐けたい――そう思って手を伸ばしたとき、
(あなた……ルーカス……?)
スライムから声がした。口がないので話しているわけではない。心に語りかけて来ているのだ。
「どうして、俺の名前を?」
(昔……一緒に……遊んだくれた……でしょ……)
「君、もしかして、ニーナなのか!?」
(ええ……昔……軽い気持ちでスライムと触れ合ってしまったの……そしたら……スライムに取り込まれてしまって……)
「そうだったのか……」
(たまに……家が懐かしくて……帰ってくるの……だけど……お母さんに……話しかけることも……できなくて……)
「そうか……」
(ルーカス……あなたは……どうして私の声が聞こえるの……?)
「俺は、魔物使いになったんだ。それもスライム専門の!」
(そう……ルーカス……私……どうしたら……)
「それは……」
かなり昔に取り込まれてしまっているから、ニーナはもうもとの姿に戻れないだろう。ニーナとしての意識はあっても、この姿のままだ。
「とりあえず、俺のところにおいでよ」
俺は迷わずそう言った。ニーナは元に戻れなくて辛いかもしれないが、スライム好きの俺としては、ニーナがスライムでも問題ない。とにかく連れて帰ろう。
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