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第5話 問答
巨大なスライム、いやニーナを宿舎に連れて帰った。夜だったので連れてくる間は人目につかずに帰ってこれた。ここまではよかったのだが……
「おお、ルーカスおかえり」
同室のダンテが迎えてくれたが、横には相変わらず裸のサキュバスが二体いた。
(きゃあああ!)
ニーナが騒ぎだした。丸い巨体がボヨンボヨンとはずみだす。
「ああ、ニーナ、ごめんね!」
たしかにこの光景をいきなり見たらびっくりするだろう。
「ルーカス、何連れてるんだ。スライムか? 随分大きいけど」
基本、人型のモンスターにしか興味のないダンテですら、ニーナをしげしげと見つめている。
「うん、そうだよ」
「なんだかそのスライム、人間の女のような雰囲気がするんだが……」
「な!? さすが女好き!スライムには興味なくてもこういうのは気づくのか!」
「え? なに? 当たりなの? どういうことだ」
俺はダンテに巨大スライムであるニーナの事情を説明した。
「へえ! 『初恋の女の子の体が溶け込んだスライム』か! お前にとって恋人としてちょうどいいのを見つけて来たじゃないか。お幸せに」
とダンテが言い出して、
(や、やだ! 恋人だなんて!)
ニーナがまたしても騒ぎ出した。
「ちょっとダンテ、やめてくれよ。ニーナが照れてるじゃないか! それに、さすがにスライム恋人にするつもりは……」
「え? そうなの? まあいいけど」
俺はニーナをなだめて自分のスペースに戻った。
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