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「今度は何を呼び出そうとして失敗したの?」
「キューピッドよ。ミリーがこないだロンドンに戻った時に、一目惚れした男の子がいるんですって」
少し離れた場所で状況を見守っていたソフィーが近づいて来て、説明してくれる。
「そんなことの為に、人ならざる者を呼び出そうとしたの?」
バカみたいな理由を聞いて、わたしは呆れ返った。
「そういうことって、自力で頑張るものよ。自分を可愛くしてみるとか、今度会った時に話しかけてみるとか……」
「アンナも魔術研究会に入らない?アンナだったら、もっとすごいものを呼び出せそう」
先程の恐怖もどこへやら、懲りない様子のミリーを見て、
「おあいにくさま。わたし、明日、日本へ帰るの」
と肩をすくめる。
「えっ!?」
「アンナが帰っちゃったら、困る!さっきみたいなことがあったら、私たち、どうすればいいの?」
ミリーとレイラの言い様に、わたしは、
「もうやめなさいよ、召喚ごっこは」
と盛大な溜息をついた。
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