2.北野天満宮のお牛さん

8/29
前へ
/191ページ
次へ
 車は堀川通を通り過ぎ、さらに西へと走る。しばらく行くと、右手に「天満宮」と額のかかった石造りの鳥居が見えて来た。鳥居の前には露天が立ち並び、多くの人が出入りしている。それを見た颯手が、 「しまった、忘れてたわ。今日は25日か」 とつぶやいた。 「すごい人ですね。北野天満宮って、いつもこんな感じなんですか?」  窓の外を見ていた愛莉が、目を丸くして問うと、 「今日は普段とは比べ物にならへん。毎月25日は『天神市』ていう骨董市が開かれてるねん。今日は神社の駐車場は使えへんなぁ。コインパーキング探さなあかん」 颯手はそうこぼして、一旦、北野天満宮の前を通り過ぎると、空いているコインパーキングを探し出して車を入れた。   車を降りて、徒歩で神社を目指して歩いていると、参拝帰りの人とすれ違った。手に何やら古道具を抱えている。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1109人が本棚に入れています
本棚に追加