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車は堀川通を通り過ぎ、さらに西へと走る。しばらく行くと、右手に「天満宮」と額のかかった石造りの鳥居が見えて来た。鳥居の前には露天が立ち並び、多くの人が出入りしている。それを見た颯手が、
「しまった、忘れてたわ。今日は25日か」
とつぶやいた。
「すごい人ですね。北野天満宮って、いつもこんな感じなんですか?」
窓の外を見ていた愛莉が、目を丸くして問うと、
「今日は普段とは比べ物にならへん。毎月25日は『天神市』ていう骨董市が開かれてるねん。今日は神社の駐車場は使えへんなぁ。コインパーキング探さなあかん」
颯手はそうこぼして、一旦、北野天満宮の前を通り過ぎると、空いているコインパーキングを探し出して車を入れた。
車を降りて、徒歩で神社を目指して歩いていると、参拝帰りの人とすれ違った。手に何やら古道具を抱えている。
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