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小さなお社(摂社)の間を通り抜けると、「天満宮」と書かれた額が掛かった『三光門』という立派な門の前に辿り着いた。
「『三光』言うんは、日、月、星のことやねん。でも、あの門の中には、日と月の彫刻はあるんやけど、星だけない。北野天満宮の七不思議のひとつなんやで」
颯手の解説を聞きながら『三光門』をくぐる。赤や青、緑色に塗られた様々な動物たちの彫刻の間に、赤い日と、黄色の月が見て取れた。
門の内側に入ると、正面に古色蒼然とした本殿が現れる。3人で本殿の前に並ぶと、
「杏奈、お参りの仕方、覚えてる?」
颯手がわたしを振り向いて問いかけて来た。
「ええと、お辞儀をして手を叩くんだっけ……?」
あやふやに答えたら、
「ほんなら、見とき」
颯手は見本を見せる様に、お賽銭を入れて鈴を鳴らし、二度お辞儀をして二度拍手した後、お祈りをして、もう一度お辞儀をした。
「はい、杏奈」
颯手にお賽銭を渡されたので、わたしも同じように賽銭箱にお金を入れると、鈴を鳴らしてお辞儀をし、「中学校の編入試験に合格出来ますように」とお祈りをする。わたしの隣で、愛莉も熱心に何かお願い事をしていた。
最後にもう一度お辞儀をして顔を上げ、
「これでばっちり?」
と颯手に聞く。
「そうやな。でも、さらにばっちりになるように、絵馬も奉納しておこか」
「絵馬?」
「お願い事を書いて、神様にお届けするねん」
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