2.北野天満宮のお牛さん

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 コインパーキングまで戻ると、愛莉が車のそばで待っていて、わたしの顔を見るなり、 「ああ、良かった!」 と笑顔になった。 「愛莉、心配かけてごめんなさい」  愛莉もきっと颯手と同じぐらい心配してくれたのだろう。頭を下げると、 「ううん。人が多かったもんね。私こそ、お店に夢中で、杏奈ちゃんを見失ってごめんなさい」 逆に愛莉に謝られてしまった。  「ううん!わたしがひとりで勝手にうろうろしていたから……」 「私こそ、ぼんやりしていて……」 「ふたりとも、もうええで」  謝り合戦をしているわたしたちを見て、颯手がぷっと噴き出した。 「駐車料金払ってくるから、先に車に乗っとき」  そう言って車のカギを開けると、料金メーターのところへと歩いて行く。  わたしと愛莉は後部座席の扉を開けると、ふたり並んで腰掛けた。  愛莉がビニール袋を提げていることに気が付き、 「何か買ったの?」 と問いかけると、 「うん。ちょっと素敵な物を見つけたの」 愛莉は、ふふっと笑って袋の中から箱のようなものを取り出した。それを見た途端、 「これっ……!」 わたしは目を見開いた。  黒い漆塗りの箱の蓋には、螺鈿細工で桜の花が描かれている。蓋は蝶番で本体と留められており、外れて落ちないようになっていた。 「この宝石箱、可愛いでしょう?オルゴールみたいなんだけど、壊れているみたいで鳴らなくて……」  そう言って箱の蓋を開けようとした愛莉に、 「それ、見せて!」 わたしは両手を差し出した。 「いいよ」  愛莉は蓋を開けるのを止め、わたしに箱を手渡してくれる。
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