2.北野天満宮のお牛さん

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「愛莉……」  誉が名前を呼び、眠る愛莉の頬に触れた。すると、愛莉が身じろぎし、ゆっくりと目を開けた。 「……誉さん?」  ぼんやりした様子で、誉の顔を見上げる。誉と颯手が、目を覚ました愛莉に、ほっとした表情を浮かべた。 「気分はどうだ?」 「愛莉さん、気分はどう?」  ふたりが同時に愛莉に問いかける。愛莉は、 「胸が痛いです。痛くて、痛くて……」 と瞳を潤ませると、 「……話を聞いてもらえますか?」 と言って、体を布団の上に起こした。 「ああ」 「もちろんや」  誉と颯手が頷くと、愛莉はぽつりぽつりと話し出した。
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