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清水の舞台はドキドキしたが、ここが本来の目的地ではないので、わたしたちは長居をせずに外に出た。するとすぐ左手に石造りの鳥居が現れた。鳥居の側に「えんむすびの神 地主神社」と書かれた目立つ立札が立っている。
「着いた!ここね」
「縁結びの主張が強いね」
鳥居の外から分かるほど、「縁」「恋占い」「良縁祈願」等の言葉があちこちに見える。
「行こう、愛莉!」
わたしは率先して階段を上ると、境内に入った。
すると、本殿と拝殿の間に、注連縄のかかった『恋占いの石』があり、修学旅行生らしき制服姿の女の子たちが側に居て、「どうする?やってみる?」「人が多いし、恥ずかしいなぁ」と喋っていた。
一対の石だと聞いていたので、もうひとつはどこにあるのだろうと思って見てみると、10メートルほど先に、同じく注連縄のかかった石があった。
「結構離れてる……」
しかも、その間を普通に人が行き来している。目をつぶってまっすぐ歩くのは、なかなか難しそうだ。
「杏奈ちゃん、先に神様にお参りしよう」
愛莉に促され、わたしは本殿に向き直った。由緒書きを読むと、主祭神は縁結びの神様・大国主命だと書いてある。
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