1112人が本棚に入れています
本棚に追加
愛莉と一緒にお祈りをした後、わたしは意気揚々と『恋占いの石』に戻った。
「愛莉、わたしやってみるね。向こうに辿り着いて見せるわ」
「杏奈ちゃん頑張って!」
愛莉の応援を背中に聞きながら、わたしは石の前に立つと目をつむった。神経を集中させて、一歩一歩前に進む。人の気配がしたら立ち止まり、ぶつからないようにして、また歩き出す。ゆっくりゆっくり進み、トン、と何かが爪先に当たった気がして、目を開けると、
「やったあ!着いた!」
目の前にもう片方の『恋占いの石』があった。
「着いたわ、愛莉!」
目をつむるわたしについて来ていたのか、いつの間にか隣にいた愛莉に飛びついて喜ぶと、愛莉はわたしの体を抱き返し、
「ふふっ、良かったね。きっともうすぐ、杏奈ちゃんの想いが、颯手さんに届くね」
と言った。思わず、
「えっ!」
と叫んで、体を離す。
「ど、どうして知ってるの!?わたしが好きなのが、颯手だって」
焦って問いかけたら、
「見てたら分かるよ。だって、杏奈ちゃん、一生懸命なんだもの」
愛莉はそう言って、にっこり笑った。
「~~~っ」
頬に一気に血が上った。
(わたし、そんなに分かりやすいのかな!?)
熱くなった頬を挟み、狼狽する。
(もしかして颯手も……気づいているのかな?)
だとしたら、嬉しい……いや、それよりも恥ずかしい気持ちが勝って、
「愛莉!奥に行ってみよう!他にもお社があるみたい」
わたしは赤くなったことを誤魔化すように、愛莉の手を引っ張った。
最初のコメントを投稿しよう!