1112人が本棚に入れています
本棚に追加
境内の奥に進むと、『水かけ地蔵』『撫で大国さん』『銅鑼の音祈願』『おかげ明神』と様々なお祈りスポットがあり、
「これだけ色々あると、絶対、良縁に恵まれそうな気がする」
わたしは、実穂が地主神社を「恋愛のパワースポット」だと言っていた意味が分かった気がした。
「神様は縁を結んでくださるものっていうのが、ここに来ると実感できるね」
愛莉が『おかげ明神』に歩み寄ると、立札を見上げ、
「見て、杏奈ちゃん。『一願成就』だって。北野天満宮のお牛さんと同じだね。ああでも、お社の後ろの御神木は、丑の刻参りに使われた『のろい杉』なんだって。左側の後ろの方に五寸釘のあとがあるらしいよ」
と目を丸くした。
「丑の刻参りって、藁人形に釘を打ち付けて相手を呪う呪法よね」
本当にそんな跡があるのかと思い、愛莉と一緒にご神木を回り込んでみると、確かに木の幹にいくつかの穴が開いている。眺めていると、なんとなく背筋が寒くなって来て、
「愛莉、もうここはいいから、お守りを見に行きましょう」
わたしは急いで愛莉の手を引いた。
最初のコメントを投稿しよう!