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拝殿まで戻ると、ショーケースの中に、様々なデザインのお守りの見本が並べられていて、
「わあ!たくさん種類がある」
わたしは、端から端にゆっくりと視線を向けた。その中に、実穂が持っていたのと同じ赤い縁結びのお守りを見つけ、
「『良縁のお守り』。よし、これにしよう!」
と決めると、若い巫女に、
「このお守りをひとつください」
と声を掛けた。巫女から、
「よう、お参りくださいました」
と言われて、お守りを受け取ると、隣で愛莉が真剣な表情で悩んでいる。
「うーん、誉さん、こういうの持ってくれるかな……」
ぶつぶつ言いながら、赤と青のペアのお守りを見つめている愛莉に、
「愛莉が渡したら、持ってくれるんじゃない?」
と声を掛けると、
「そう、かな……」
愛莉は自信がなさそうな顔をした。
愛莉はしばらくの間、悩んでいたが、心を決めたのか、
「これを下さい!」
と言って、ペアのお守りを購入した。
「ふふっ」
「買っちゃったね」
ふたりで顔を見合わせ、笑い合う。そして連れ立って地主神社の鳥居を出ると、再び清水寺の境内に戻り、ゆっくりと散策をしながら正門まで戻った。
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