3.地主神社の恋占いの石

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 11月に入り、最初の週末、わたしの学校では文化祭が催された。  中1から高3までのクラスと、文化系クラブが、何かしらの出し物を行い、文化祭は大いに盛り上がりを見せた。わたしのクラス3年A組は合唱をしたのだが、初めて経験する日本の文化祭で、クラスメイトと一緒に日本語の歌を歌うのは新鮮だった。  そして、楽しかった2日間が終わり、代休を挟んだ翌日の放課後、 「実穂、一緒に帰りましょう」 わたしがいつものように誘うと、実穂は、 「ごめん、杏奈ちゃん、今日は一緒に帰れないんだ」 と言って、申し訳なさそうに両手を合わせた。 「何か用事があるの?」 と聞くと、実穂はもじもじとした後、 「あのね、実は……」 わたしの耳元に口を寄せると、 「横田君と付き合うことになったんだ」 と告白をした。 「ええっ、そうなの!?いつの間に!?」  思わず大声を上げると、 「シーッ」 実穂は慌てたように唇に指を当て、まだ教室に残っている他のクラスメイトに話が聞こえなかったか、注意深く視線を巡らせた。 「文化祭の時に『付き合って下さい』って告白したの。そうしたら、横田君『いいよ』って言ってくれて……」  ぽっと赤らんだ頬を両手で挟んだ実穂を見て、わたしは、 (地主神社の『恋占いの石』のご加護があったのかしら。すごい、やっぱり本物なのね) と内心で驚いた。
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