3.地主神社の恋占いの石

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 実穂から彼氏が出来たことをカミングアウトされてから、数日が経った。  毎日とても幸せそうで楽しそうだった実穂が、最近はなぜか元気がない。 「実穂、最近元気ないわね。何かあったの?」  授業の合間の休憩時間、教室を出た実穂を追いかけ、わたしは廊下で話しかけた。実穂は、暗い表情でわたしを見返し、 「……ねえ、杏奈ちゃん。もしかして、私と横田君が付き合ってるって話、誰かにした?」 唐突にそう問いかけた。 「えっ?誰にも言っていないけど」  なぜ疑われているのか分からず、吃驚したまま首を振ると、実穂は、わたしの言葉が本当なのかどうか探るような瞳をした後、 「……私が横田君と付き合ってるってこと、噂になってるみたいなの」 と言って、ブレザーのポケットの中から、折りたたまれたノートの切れ端を取り出した。 「授業中に回って来た。でも誰からなのか分からない」  ノートには「調子にのんな。ブス」と殴り書きがされている。 「うそ、何これ!わたし、これを回したのが誰なのか、聞いてくる!」  即座に身を翻そうとしたわたしの腕を、 「待って!」 実穂が掴んで引き留めた。 「やめて!これ以上、目を付けられたくない」 「……横田君は、何て言ってるの?」 「黙っていれば、そのうち皆飽きて、噂しなくなるよ……って」 「それまで、悪口を言われるがままになるっていうの?」  つらそうに唇を噛んでいる実穂を見て、わたしは横田君に怒りを覚えた。 (彼氏なら、もっと積極的に彼女を守ったらどう!?)  とはいえ、悪いのは彼ではなく、陰口を叩いている「誰か」だ。  わたしは気を取り直し、 「他に何か困ってることない?何かあるなら、力になるわよ」 肩に手を置くと、実穂は、 「ありがとう、杏奈ちゃん」 と弱々しく微笑んだ。
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