3.地主神社の恋占いの石

15/26
前へ
/191ページ
次へ
 手紙の一件があってから、わたしは実穂の周囲を意識して観察するようになった。  実穂はどうやら、クラスの他の女子から無視をされているようだ。時折、 「オタクのくせに横田君と付き合ってて腹立つ」 「横田君、優しいから断り切れなかったんじゃないの?」 「迷惑がられてるの、気づいてないんじゃない?図々しい」 そんな悪口が聞こえてくる。 「実穂、お弁当、外で食べましょう」  昼休み。ひとりでぽつんと椅子に座っていた実穂を、わたしはお昼ご飯に誘った。すると、 「ごめん。最近、体調が悪くて、食欲がないんだ」 実穂から断りの言葉が返って来た。 「体調が悪いって……風邪?」 「風邪じゃないよ。最近、たまに、ちくちく刺されてるみたいに胸が痛くなるの。でも、病院に行ったらどこも悪くなかったから、私の気のせいかもしれない。大丈夫だよ」  首を振った実穂を見て、 (きっとストレスだろうな……) わたしは気の毒に思った。  実穂は元々、人の悪口を言わない子だ。自分に悪意が向けられていても、それに対しての愚痴や悪口を、ひとつもこぼさない。 (もっと吐き出してもいいと思うけどな……) 「何か困ったことがあったら、いつでも言って」  溜め込むタイプは、限界を超えると、どうなるか分からない。わたしは心配になりながら、実穂を見つめた。  
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1112人が本棚に入れています
本棚に追加