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その後、実穂は体調不良がひどくなったのか、学校を休むようになった。
実穂が来なくなってから3日経ち、さすがに心配になったわたしは、3年B組の夏巳を訪ねた。彼女と実穂は近所に住んでいるので、何か様子を知っているかもしれないと思ったのだ。
B組の教室に行き、夏巳を呼び出してもらうと、わたしは、
「実穂の体調、どんな具合なのか知ってる?」
と尋ねた。実穂と同じ大人しいタイプの夏巳は、あまり自分から話しかけてこないので、わたしとはまだ距離感がある。わたしが教室を訪ねたので、吃驚した顔をしていたが、実穂のことだと分かると、
「昨日、お見舞いに行った時は、少し体調良さそうだった。一緒にプリンを食べたよ」
と教えてくれた。甘いものだけでも食べれているのだと思い、安心していると、夏巳が、
「明日は学校に行けるかも、って言っていたんだけど、やっぱり体調悪くなっちゃったのかなぁ」
と続けたので、再び心配になった。
「何の病気か聞いてる?」
「お医者さんも分からないみたい。時々、すごく胸が痛くなるんだって。でもずっとじゃないみたい。波があるんだって言ってた。……いじめのストレスかなぁ」
夏巳もわたしと同じことを考えているようだ。
心因性で体に不調が出ると聞いたことはあるが、
(でも……)
実穂の症状は、なんだか妙に引っかかる。
(うーん、何が引っかかるんだろう……)
わたしは内心で考え込んだ。けれど、考えるだけでは何も分からない。
「明日は土曜日だし、わたしもお見舞いに行きたいから、佐伯さん、一緒に行ってくれないかしら?」
実穂の家がどこか知らないので、夏巳に頼んでみると、
「いいよ」
夏巳は快く頷いてくれた。
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