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「……?」
突然の夏巳の行動を怪訝に思い、わたしが首を傾げていると、
「そういえば、杏奈ちゃん、地主神社に行ってみた?」
ふと思い出したように実穂が尋ねて来た。
「……!」
ここでそれを聞かれるとは思わなかった。思わず息を飲み、照れ臭い気持ちで視線を反らす。
「あ、やっぱり行ったんだ」
実穂が楽しそうに目を細め、
「どうだった?『恋占いの石』やってみた?」
と問いかけて来たので、隠しておくのは無理かと思い、
「……やってみた」
小さな声で答える。
「一度で辿り着けた?」
「うん」と頷くと、実穂は「良かったね」と言って笑った。
「実穂の恋も叶ったし、すごく効果があるのね。あの石って」
「あの石の占い、江戸時代の人もやってたんだって!すごいよね。歴史があるよね」
「へええ」
どの時代も、恋する乙女は占い好きということなのだろうか。
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