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「それにしても、どこでこんなものを手に入れたの?まさか……自分で作ったの?」
陰陽師でもない夏巳が呪いの藁人形を作って、ここまで効果が出せるのだろうかと思って首を傾げていると、夏巳は、
「買ったの……」
もう隠しておくのは無理だと思ったのか、素直に答えた。
「買った?」
「うん。SNSに実穂の悪口を書きこんでいたら、話しかけてきた人がいたの。『そんなに憎いなら、呪ってみませんか』……って」
「えっ、何よそれ!?呪いを売ってる人がいるっていうの?」
驚いて大きな声を出したら、夏巳は、
「『呪い屋』って名乗ってた」
と言った。
「その『呪い屋』のこと、もっと詳しく教えて」
問いただすと、夏巳は首を振り、
「私もよく知らない。藁人形はお金を振り込んだら郵送で送られて来たし、その後、アカウントもブロックされたみたいで、連絡先も分からなくなった」
と答える。
自分がしでかしたことを反省しているのか、萎れた様子の夏巳を見つめながら、わたしは、
(『呪い屋』って、一体、何者なの……?)
難しい顔で眉根を寄せた。
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