4.伏見稲荷大社の霊狐

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 わたしは、 「ママの誕生日ももうすぐよね。わたしもママにプレゼントを買うわ。今年は何がいい?」 と問いかけた。ママとわたしは誕生日が近く、いつも一緒にお祝いをしている。実は、亡くなったおばあちゃんも12月生まれで、一緒に住んでいた頃は、パパが大きなケーキを買って来てくれて、皆でパーティーをしていた。 「うーん、そうねえ……」  ママは唇に指を当てて考え込むと、 「お守りがいいわ」 と言った。 「お守り?」 「そう。商売繁盛のお守り。伏見稲荷大社のがいいわね。京都一の商売繁盛の神様だから」 (ママ、ネットショップがうまくいっていないの、よっぽどショックなんだな……)  ママの希望を聞いて、わたしは内心で苦笑した。 「じゃあ、そうするね」  頷くと、ママは、 「どうせなら、颯手君と行って来なさいな」 と悪戯っぽい顔になった。  「私から颯手君に頼んでおくから、デートしていらっしゃい」 「デ、デート!?」  思わず声が裏返ってしまった。  動揺しているわたしを見て、面白そうに笑っているママは、 (一体、どこまでわたしの気持ちを知っているんだろう……) と考える。 (深読みしすぎかな。ただ単に、わたしが子供の頃から颯手に懐いているから、こんなことを言うのかもしれない)  でも、ママの提案は素直に嬉しい。 「……うん、そうする」  わたしは熱くなった頬を隠すように顔を伏せながら、頷いた。  
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