約束

1/1
前へ
/9ページ
次へ

約束

「戻ってくるから、絶対。戻ってきて、月子(つきこ)と結婚するから」 彼はわたしをかたく抱きしめ、悲痛な声で誓った。 「絶対なんて、この世にあるの?」 わたしの声は、震えていた。 「あるよ。約束する」 初夏の海風が、これから引き裂かれる運命のわたしたちの頬をなぶってゆく。 「10年後の今日、この橋の上で逢おう。必ず」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加