episode259 復讐の計画①

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もう一度鏡で自分の身なりを確かめたい欲求をこらえて。 僕は九条さんの部屋のドアを軽くノックする。 すぐに内側からドアが開いて。 白いワイシャツ姿の彼が無言のまま僕を中へ促した。 あえて笑顔を作らず僕は部屋の中ほどまで進む。 いつだってきちんと整頓された彼をそのまま映し出すような部屋。 僕は花瓶に生けてある花を見て。 続いてベッドサイドに置かれたフランクミューラーの腕時計に目をやる。 それから今しがた彼の首から抜かれたばかりのネクタイが 美しい螺旋状に丸められているのを見つめる。 「座りなよ。僕ら――立ち話する仲じゃないだろ?」 後ろから突如肩を抱かれてドクンと心臓が撥ねた。 「君が僕に何を話にきたかは想像もつかないけれど」 記憶に沁みついた彼の匂いに包まれ 愛おしさがこみあげると同時に足がすくむ。
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