38人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
そのままソファーに腰掛けると
僕の身体は九条さんの腕にすっぽりと包まれる形になった。
「九条さん……」
「いいんだよ。何も言わなくても」
その手は柔らかく
壊れものに触れるように僕の髪を撫でる。
「僕が先に謝らないといけない」
「え……?」
「毎晩花を食らってたって——?君の異常に気づけなくてごめん」
「そんな」
「正直舞い上がってたんだ。たとえ嘘だとしても、君が僕だけを愛してい
ると言ってくれる夢みたいな瞬間に」
だからこの人は――。
「あなたが謝ることじゃないでしょ」
「かもしれない。だけど——僕らの仲が完璧なふりをしていたのは僕も一緒だから」
人が好過ぎる。
天使みたいな顔して——その上。
「ン……ンンッ……!!」
キスが上手い――なんて言ってる場合じゃないって!
最初のコメントを投稿しよう!