episode259 復讐の計画①

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彼に嘘は得策ではない。 だから 「待って――」 もう一度近づく唇を指先で抑えると 僕は真実を告げることにした。 「今回は……今回ばかりは征司お兄様のためではなくこの家にいたいんだ」 「え?」 「わけはまだ話したくない」 九条さんは無垢な目を丸くしたのも束の間。 すぐに複雑な表情を作った。 「その説明で僕に納得しろと?」 「ええ……だってあなたを愛してる。それは本当」 切り札は大事に取っておく。 だけど甘えて媚びて喜ばせるのは椎名さんもいいって言った。 「悪い子の僕が嫌いになった?」 僕は彼の首に両手を回して耳元に甘く囁いた。 「それともあなたのモノだって証拠が欲しい?」 触れ合う頬がかぁっと熱を持つのが分かる。 その距離で 「するべきことがすんだら、あなたの要求のまま言うこと聞くから——ね」 再び囁いて今度はこちらから瞳を覗き込むんだ。 「だからお願い――少し待って」
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