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何もあてにならないと思っていたけれど。
「なんだって?」
「ですから、征司様が和樹坊ちゃまと敬様を屋敷にとどめておくようにと仰ったのです」
時が僕に味方した。
「それまたどうして?」
「実は近々、征司様が当主になられてから初めての大々的なパーティーを屋敷で開くことになったのです」
「屋敷でパーティーを?」
「はい。征司様がホストを務められ親族の長老方や御父上の代からお世話になっている方々、はたまた今後ビジネスパートナーにお考えの皆様をお招きしての大切な場となるパーティーです」
翌日部屋にやって来た中川は
毎度の厄介事を背負いこみ途方に暮れた顔して続けた。
「ですから喧嘩して義理のお兄様と弟君を屋敷を追い出なんてことになると……」
「カッコつかないわけだ」
「仰る通りでございます」
口笛を吹きたい気分だった。
「大々的なパーティーね」
ここにとどまるために
王様の許しを請う必要がなくなっただけでなく。
悪い魔女をかまどに投げ込むの最良の場所が提供されたんだから。
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