38人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
ちょうどいい具合にその日の午後。
件の刑事——冴木から連絡が来た。
「思ったより早いな」
今夜聴取に伺ってもよいか聞かれているというメイドに。
「僕に会いたくて待ちきれないって。エロ刑事がそう言ってるかい?」
電話口で聞こえるように笑ってやると
彼女、慌てて大きな声で『結構です』と答えた。
「和樹坊ちゃま、冗談もほどほどになさってください!」
「怖いな、もう」
可愛い肘鉄を食らって吹き出す僕に
「刑事さん、8時にいらっしゃるそうです!」
吐き捨てて去ってゆく。
代わりに――。
「おい、アホ面下げて俺の道を塞ぐな」
螺旋階段の上から僕を見下す様に現れた。
「征司お兄様……」
二日酔いらしい不機嫌なディオニソスが――。
最初のコメントを投稿しよう!