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「買えば?」
「そうね。頂こうかしら」
その瞬間。
殺してやる。
今回ばかりは地獄に葬ってやる——。
今までにない火のついたような怒りが。
沸々と湧いて間抜けな笑みを浮かべたままの
僕の体と心を隅々まで支配した。
「それじゃあ次はあれを見せて——鈴蘭袖の白いワンピース」
「ああ、はい。かしこまりました」
貴恵はヒールを履きなおすと。
現れた時同様外商を従え応接間に消えて行った。
「覚えとけよ――」
もうすぐだ。
今夜おまえの犬は尻尾振って僕に会いに来る。
そしたら今度は僕が笑わせてやる。
冥途の土産にね。
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