episode259 復讐の計画①

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「それにさ、ただの事情聴取なら別に屋敷でなくても、どこででもできるでしょう?」 躊躇いなく上目遣いで太腿に手を置いた。 ウェットジェルでセットした髪が 艶めかしく男を誘う。 「……どこかへ行きたいの?」 尖った唇が迷いを孕んで言った。 「うん。行先は——任せるけど」 鍛えられた身体にお堅いスーツは窮屈そうだ。 長い指が溜め息交じり乱雑にネクタイを緩めた。 「困ったな。君みたいな子を連れて行く場所を俺は知らないよ」 現役刑事が爪を噛む。 「僕みたいな子って?」 「だから——筋金入りの名家の坊ちゃんを連れてゆくような場所をさ」 しかしそうも言ってられなくなった。 屋敷の中門が開き車のサーチライトが見えたのだ。 「アクセルを踏んで!」 「え?」 「早く!」 屋敷から誰かが出てくる。 寸でのところで——僕を乗せた車は急発進した。 「大丈夫か!おい!」 シートベルトをしていなかった僕の身体は助手席の下まで転がって。 ようやく這い出しながら言った。 「行先は——あの世じゃなきゃどこでもいいよ」
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