episode259 復讐の計画①

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向かうべき場所は決めていた。 標的AでもBでもCのところでもない。 「なんだよ?何しに来た?」 僕の訪問を少しも待っていない次兄の部屋だ。 「僕に関わるのはもううんざりだってことは分かっています。でも聞いて——僕に鈴蘭を食べさせたのは貴恵お姉様だ」 無理矢理部屋に押しかけ扉を閉めてしまうと 僕は声を潜めて告白した。 「だったらどうしてさっきそう言わなかった?」 薫は匙を投げたようなジェスチャーで僕に背を向ける。 今さっきシャワーから出たとこらしい。 生乾きの巻き毛がいい具合いにアンニュイだ。 「家庭内の問題で終わらせないためですよ」 手にしたタオルを奪うようにして 僕は柔らかい髪を拭いて差し上げる。 「ちょ……やめ……」 最初こそ抵抗を示したものの。 「いいから座って——このまま聞いて」 知ってるんだ——。 この人は愛情不足で育った分 こういう行為を拒絶できない。
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