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薫をベッドの端に座らせ
濡れた髪を拭きながら僕は続けた。
「今回はここだけに収めるつもりはないんです」
「ていうと……?」
「それ相応の社会的制裁を受けてもらう。つまりはきちんと殺人未遂の刑罰を受けさせるつもり」
薫は懐疑的だった。
「そんなことできるのか?」
「ええ、多分。ここだけの話――」
2人きりなんだからこれ以上距離を詰める必要はないのに。
洗いたての髪の香りにつられてつい。
「貴恵の知り合いの刑事を誑かしているところなの」
僕は頬ずりするように美しい次兄に近づき囁いた。
「おまえは……相変わらずの食わせ物だな!」
薫は心底呆れたように目を丸くして
身の危険を感じたのかようやく僕を跳ね除けた。
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