episode259 復讐の計画①

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「それで薫お兄様にお願いがあるんですよ」 「よせよ」 薫は大仰に両手を上げる。 まるで僕が銃でも構えてるみたいにさ。 「そんなに警戒しないで。僕はただ征司お兄様をちょっと説得して欲しいだけ」 「あぁ?」 「女王様に復讐する前に追い出されそうなの」 なんで?と言いかけて薫は言葉を飲み込む。 理由なんて聞く必要もないと思ったんだろう。 「俺を巻き込むな」 「薫お兄様だって昔鈴蘭で殺されかけた仲間じゃないですか?悪い魔女に一泡吹かせてやりたくないの?」 「それとこれとは話が別だ——そもそも俺がお願いして征司兄が聞くもんかよ」 そっぽむいて乾きかけの髪を掻き上げる。 白いうなじに鳶色の巻き毛が黄金のように零れ 思わずこちらが息をのんだ。 やれやれ。 この人は自分の美しさをこれっぽっちも武器にしないんだから。 「僕ぐらいの可愛げがあれば征司お兄様だって耳を貸すさ」 「ざけんな、出てけ」 ほらね。 可愛い巻き毛も 雪のように白い肌も実に宝の持ち腐れだ。
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